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tohruによるレビューブログ
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先週の土曜日、NHKで放映していた、全26話の
テレビアニメーション、「電脳コイル」が最終回を迎えた。
やはり傑作であり、これから永く名作と
記憶されるべき貴重な作品であった。

昔の少年時代に、未来少年コナン(1978)や
機動戦士ガンダム(1979)をリアルタイムで
毎週楽しみに見ていた私としては、
それ以来の名作SFアニメーションだった。
この紛れもない傑作が誕生するには、
あまりにも長い長い歳月のブランクがあったのだ。

監督の磯光雄を始めとするスタッフたちは、
その情熱と努力で、よく頑張ったと思う。
あまりにも無残だった「新世紀エヴァンゲリオン」(1996)の
大失態(磯監督もスタッフに参加)を補って余りある功績だ。
そんな過去の作品の失敗からも、多くのものを学んだんだろう。

仏つくって魂入れず‥‥作品にとって肝心要の物語を
生み出すことが出来ずに、単にウルトラマンみたいな
見せ場とキャラクターの葛藤と舞台設定の説明の繰り返しに過ぎなくて、
いつまで経っても物語が始まらずに、挙句の果てには
投げ出して終わった、無残な残骸である「新世紀エヴァンゲリオン」。
ただ、魅力的なデザインとともに、キャラクターや
他の商品価値があって、うまく商業主義のなかに組み込まれていって、
現在でも映画が公開されたり、ゲームセンターの景品になったりしている。

だが「電脳コイル」は、その「新世紀エヴァンゲリオン」の
商業的成功をことごとく排除して、逆のことをやった。
だいたい、「電脳コイル」のもうひとつの主役である
電脳メガネは、何の変哲のない、ただのメガネなのである。
これが他のテレビアニメーションのように、
SFっぽい未来的なデザインにしたら、玩具にして売れただろうに(笑)
たとえば、サーチマトン、サッチーのデザインも、
ぜんぜん格好良くなくて、「電脳コイル」を観ていない人が
見たら、なんじゃこりゃ、というようなデザインだ。
デンスケの不細工ぶりも同様だ(笑)ヤサコ、イサコを始めとする
登場人物たちも、昔のアニメからタイムスリップ
したかのような、とても平凡なデザインに見える。

だがそれは、本当の作品をつくりたいという
磯監督やスタッフたちの熱意に他ならない。
そう、内容あってのデザインなのだ。
「電脳コイル」を最後まで観たら、登場人物や
サッチーやデンスケやオヤジやモジョ、
この作品に出てくるものを愛さずにはいられないだろう。

「電脳コイル」は、今の時代には珍しい、
子供たちへの大切なメッセージをもったテレビアニメーションだった。
児童の心療内科を軸にしたような内容も、とても興味深い。
ちなみに、作品に出てくるイマーゴという言葉は、
精神分析用語では、「幼い時期に形成されたまま、成年時まで
保持されている愛する人(親)の理想化した概念」らしい。


磯光雄-Wikipedia


「電脳コイル」の評論

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